毎年度実施する年金額の改定で、支給額を抑える「マクロ経済スライド」が2019年度に続き20年度も発動される公算が大きくなった。

発動の条件となる今年1年間の物価などがある程度上昇する見通しとなったため。高齢者にとって、今年度と比べた支給額は横ばいか増加となるが、増えたとしても物価や賃金の上昇ほどは伸びず、実質的に目減りする。厚生労働省は来年1月に20年度の改定額を発表する。

年金は物価や賃金の変化に応じた改定が基本だが、少子高齢化でも制度を維持するためにマクロ経済スライドが導入されている。物価や賃金の伸び率から、保険料を納める現役世代の減少などを踏まえた「調整率」を差し引いて、年金額が決まる。

ただ、物価や賃金が伸びないデフレ下では発動しない。マクロ経済スライドを実施した場合でも年金額は前年度を下回らないルールだ。20年度に発動すれば2年連続で、15、19年度に続き3回目となる。

(2019年11月24日 時事通信)

※一部の企業の好景気と、生活実感での好景気とではかなりの乖離がある現在、実質的な目減りはますます乖離を助長する原因ともなりかねない。