厚生労働省は24日、2020年度の公的年金の支給額を前年度比0・2%引き上げると発表した。物価や賃金の上昇を反映した本来の引き上げ幅は0・3%だが、年金額を抑制する「マクロ経済スライド」を2年連続で適用。これにより、支給額はわずかに増えるが、物価・賃金の伸びよりは抑えられることになり、実質的な価値は目減りすることになる。
20年度の年金額は、自営業者らが入る国民年金(満額)で月6万5141円(前年度比133円増)、会社員らの厚生年金は夫婦2人の標準的な世帯で22万724円(同458円増)となる。増額改定は2年連続。
年金額は毎年度、物価と賃金の変動率に応じて見直される。総務省が24日発表した19年の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)は0・5%の上昇で、これを基にした賃金変動率は0・3%増。物価の伸びが賃金を上回る場合は賃金に合わせて年金額を改定するのが原則で、本来であれば0・3%増となる。
ただ、年金財政を維持するため、物価・賃金の伸びよりも年金額を抑える「マクロ経済スライド」が04年に導入されている。物価と賃金が上昇することが適用条件だ。20年度は環境が整い、抑制分として0・1%が差し引かれる。
マクロ経済スライドはデフレ下では適用されないルールがあるため、導入以降も機能しない時期が続いてきた。適用は今回が3回目で、2年連続の適用は初めてとなる。
(2020年1月24日 毎日新聞)
※年金生活高齢者にとっては痛い決定だ。物価高、消費増税、医療費負担増案が進行しているなか、日々の生活費の工夫だけではどうにもならなくなってきているという。