一定の所得がある75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法が4日の参院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決、成立した。単身世帯は年金を含めて年収200万円以上、複数世帯では合計320万円以上が対象になる。高齢者に収入に応じた支払いを求めて現役世代の負担を抑制する狙いだが効果は限定的だ。
現在、75歳以上の大半は窓口負担が1割だ。現役並みの所得(単身で年収383万円、複数世帯で520万円以上)の人は3割を負担するが全体の7%にすぎない。2割負担の層をつくり、3段階とする。2割負担となるのは75歳以上の約20%で約370万人が該当する。
後期高齢者医療制度の財源は窓口負担を除いて5割を公費で負担し、残り4割は現役世代からの支援金、1割を高齢者の保険料でまかなう。75歳以上の人口が増えて医療費が膨らめば現役世代の負担も重くなる。
厚労省の試算によると21年度の支援金総額は6.8兆円で、現状のままだと22年度に7.1兆円、25年度に8.1兆円と急速に膨らむ。
2割負担を導入しても支援金の軽減効果は25年度で830億円にとどまる。現役世代の負担を1人あたり年800円軽減するにすぎない。事業主との折半などもあり、本人の軽減効果は月30円程度と試算される。今後も給付と負担の議論は避けて通れない。(2121年6月4日 日本経済新聞 抜粋)
※確かに全医療費の構造から考えるとこの法案にうなずけなくもない。同時に、高齢者が医療機関に行く頻度を少なくするような日々の健康管理が重要であることの啓蒙にも政府全体で取り組んでいただきたい。